貧血1

 

    ┌貧血・立ちくらみ・顔色不良・皮膚枯燥・四肢の冷え・かすみ目—四物湯

 

    ├四肢しびれ・顔色不良・皮膚枯燥・月経過多・不正性器出血—芎帰膠艾湯

 

    ├虚弱体質・貧血・顔色蒼白・四肢冷え・腹痛・めまい・浮腫—当帰芍薬散

 

    ├全身衰弱・皮膚乾燥・顔面蒼白・寝汗・冷え・食欲不振・下痢—十全大補湯

 

    ├全身衰弱・皮膚乾燥・顔面蒼白・寝汗・冷え・咳・イライラ・不眠—人参養栄湯

 

─寒─虚┼貧血・顔色不良・易疲労・食欲不振・健忘・動悸・不眠・不安・寝汗—帰脾湯

 

    ├貧血・顔色不良・健忘・動悸・不眠・不安・神経過敏・イライラ—加味帰脾湯

 

    ├食欲不振・腹部の冷えや冷痛・温かい飲食好む・流涎・悪心・下痢—人参湯

 

    ├食欲不振・易疲労感・軟便・胃部膨満感・胃もたれ・嘔気・咳・多痰—六君子湯

 

    └食欲不振・易疲労感・胃弱・胃部振水音・下痢・痩せ・顔色不良—四君子湯

 

 

 

 貧血の症状は、血虚の状態とほぼ同じであり、血虚関連の方剤がまず用いられる。血虚に対する基本方剤が四物湯であり、寒虚証であるが、湿証ではなく、燥証、すなわち、肌がカサカサし、顔色もどす黒いような場合に用いる。芎帰膠艾湯は、四物湯を含み、出血によって貧血になっている場合に向いている。顔色が見るからに白いか蒼白く、むくみ傾向のあるもの、すなわち寒虚証で湿証のものには当帰芍薬散がよい。十全大補湯は、血虚に気虚が加わったもので、高度の疲労、衰弱による貧血によい。病後や手術後の衰弱した身体を回復させるのに最も優れた方剤とされている。十全大補湯に似て気血両虚があり、しかも咳・イライラ・不眠などを伴う場合は、人参栄養湯がよい。

 

 気虚に対する方剤も貧血治療に役立つ。基本方剤は四君子湯で、湿証、すなわち胃弱で胃部に振水音を触れるような場合に用いる。四君子湯証に似て、吐き気や咳、薄白痰を伴うものには六君子湯がよい。下肢・腹部に冷えがあり、温かい飲食物を好み、胃もたれ、下痢などの症状があるものには人参湯を用いる。

 

 帰脾湯は、四君子湯に貧血を治す生薬などを加えた方剤であり、貧血治療にもっともよく用いられる。さらに神経過敏、イライラ等を伴う場合は加味帰脾湯を用いる。